
◆経緯
学生時代からテニスを続けている。
3カ月前から右肘に痛みを感じ始める。
結構なハードを練習を学生時代にこなして
いたので、社会人になってから、趣味で
継続しているテニスが原因で肘が痛みだしたとは
本人は認識していない。
すぐ改善するだろうと考えていたが、ここ数日は、
キーボード作業でも痛み出した。
HPを見て来院される。

◆初回時のカラダの状態
・右肩甲骨の動きが極端に悪い
・下肢長検査にて両側膝関節の伸展抑制&能動屈曲が生じる
・前方頭位姿勢
・右橈骨頭に圧痛

◆施術&術後の変化
初回:左右を比べて肩甲胸郭関節の動きに顕著な差が
確認できる。特に肋骨からの離解不全。
右前腕に関しては、回内/回外の反復拮抗運動で左に
対して遅延が生じる(疼痛発生はなし)
また、非常に下肢の緊張が強く、柔軟性の低下が
著しい。
施術はアクティベータ・メソッド(肩甲骨外方に顕著なエラー)
キネシオテーピングを前胸部・上腕・前腕にかけて、
外側靭帯テープ、前腕浅筋膜テープ、腕橈骨筋、
上腕ニ頭筋テープ、大胸筋テープを貼付。
下肢ストレッチを指導。
術後は90%症状が消失(残10%は違和感程度)
満足のいく結果となったが、「テニス肘」の症状は
カラダの不調和により生じる『二次的産物』であることを
説明し、今後の再発予防と他の症状発生のリスクを回避する
意味で下記の改善をすすめ。施術を継続することとした。
①肩甲胸郭関節の構造的&神経的エラーの存在
②下肢の過緊張&短縮による柔軟性低下
次回は1週間後
2回目:週末のテニスで少し痛みだした程度(翌日には回復)
キーボード作業での疼痛は生じず。
アクティベータ・メソッド(膝、骨盤、股関節を矯正)と
キネシオテーピングを貼付。
大腿裏側の筋肉の緩和操作&ART(悲鳴を上げる程の激痛)


3回目:アクティベータ・メソッド、大腿裏側の筋肉の
緩和操作&ART

◆考察
・初回の施術で「痛み」という症状は改善したので、
クライアントさんは満足されていたが、その痛みを
生み出した『原因』については根本解決できていないように
思われたので、再診を提案。
非常に下肢(大腿の裏の筋肉=ハムストリング)の緊張が強く、
柔軟性の低下が著しいことから。神経的な「過緊張」と
組織的な「短縮」の両方が生じており、下肢長検査においても、
与えるストレスに対して数パターンの下肢の軌道を描く。
2回目の施術でようやく神経的な反応が解消し、3回目でようやく
組織的な問題(短縮)が解消できた。
上肢を動かす場合、下肢の安定→腰部の安定→胸部の安定
→肩甲骨の安定→肩部の安定という動的安定性が不可欠である。
当院では、この動的安定性の欠如(ごく僅かな安定性欠如の積算)
が肘の障害に関与していると考えている。
