

◆経緯
15年程前からの慢性的な腰痛。2011年11月頃から、
腰痛に加えて、右のお尻、ふとももの外側、ふくらはぎに
攣るような痛みが生じた。一ヶ月後に10分程の歩行で
痛みが増加し、歩けなくなってしまう。
心配になり、病院へ通院した結果、画像所見から脊柱管狭窄症と
診断される。しかし、具体的な治療方針を提案されることもなく、
どうすべきか迷っていた際に、友人から当院を紹介される。
とにかく少々の痛みを感じても普通に歩けるようにして欲しいと
依頼される。

◆初回時のカラダの状態
・調子が良く、痛みが軽度の状態であっても
正常歩行が困難と自覚。
(→疼痛回避パターンが短期間で刷り込まれている)
・排尿困難、下肢の痺れなどの症状はなし。
・マッサージを頻繁に(特に腰を強揉み)受けていた
ためか、背部の筋は非常に硬化している。
・カラダの「アソビ(柔軟性)」の極端な減少。
→ストレッチボード20度の角度設定で極端な
前傾姿勢となり立位維持が不可能。
・ふともも前面の筋肉(大腿四頭筋)の柔軟性が
極端に低下。

◆施術&術後の変化
初回:下肢の緊張が極端に強く、自分の意思で力を抜くことが
できない状態(ご本人は「こんな状態になっているなんて
自覚が全くなかった」とコメント)
アクティベータで、丁寧に神経機能障害を起こしている
骨盤、股関節、背骨の関節を中心に矯正する。
(アクティベータ・メソッドのみで終了)
ふともも前面の筋肉のストレッチを指導。
術後:
症状はわずかに軽減した程度。しかし、
「立つ」という行為が楽になったとコメント。
次回は3日後。
2回目:前回の施術後の変化として、臀部の痛みが
大幅に軽減。腰部、ふともも外側、ふくらはぎは
依然として疼痛残存。歩行時の疼痛増悪症状も残存。
施術は前回同様にアクティベータ・メソッドのみ。
下肢の緊張は1/2程度に軽減。
(但し、一般と比べると明らかに緊張状態は強い。
臀部筋群のストレッチを指導。
とにかく痛みをなんとかして欲しいということで、
施術終了後、キネシオテーピングを貼付。
術後:
腰部・ふともも外側の痛みは1/2程度の軽減、
ふくらはぎの疼痛は残存。
「上半身が起き上った感じがする」コメント。
また、主訴と関係はないが、肩まわりが楽に
なったともコメント。
次回も3日後
3回目:前回の施術後の変化として、歩行時の疼痛増加症状が
消失。痛みによって歩行困難になることがなくなった。
そして、臀部、ふともも外側の痛みが消失。
腰部の痛みは「芯」が残っている感じがするが、
治療前と比べると半分以下に減少。ふくらはぎの
症状は変化なし。
施術は前回同様にアクティベータ・メソッドのみ。
下肢の緊張は依然として残存。
とにかく痛みをなんとかして欲しいということで、
施術終了後、キネシオテーピングを貼付。
術後:
治療前と比べて、症状の変化なしと認識。
ただし、呼吸がしやすくなった感じがすると
コメント。
施術後、時間が経過した方がカラダに変化が
生じることを経験から理解して頂き、また、
で今までマッサージで受けていた施術のように
「腰を揉む」ということをしなくとも、腰痛が
減少していることから継続治療をを行うことに
承認頂いた。次回は1週間後
4回目:前回の施術後の変化として、腰部の痛みは9割程消失。
常時痛みのあったふくらはぎの症状も時々出現する
程度に改善(痛みの質も低下)
歩行時の疼痛症状の消失は維持。歩行困難は再発せず。
施術は前回同様にアクティベータ・メソッドのみ。
関節の神経機能障害も減少しているので、
ふとももの裏側の筋肉(ハムストリング)の緩和操作を
念入りに行う。
術後:
治療前と比べて、下肢が非常に軽くなったとコメント。
腰部、ふくらはぎに関しては変化なしと認識。
今までの4回の施術で、歩行時の疼痛増加による
歩行困難な症状が消失したので、
クライアントさん自らの評価で満足のいくカラダの
状態になれたということで継続施術は一旦終了。
次回からメンテナンスに移行。

◆考察
・この方の場合、施術後に主訴とは一見して関係ない
部位の改善を意識することが多く、肝心の症状の改善を
その場で感覚することが少なかった。
「上半身が前傾している」、「呼吸がしにくい」
という今まで自覚していなかった状態も、
今回の主訴発症の原因のひとつであったと考えられる。
また、この方の場合、確かに脊柱管の狭窄
(せまくなっている状態)は存在するかもしれないが、
それが、主訴の原因であるとは考えにくい。
やはり、カラダ全体のバランスが崩れていたことが
主要因であると考えられる。